2002年12月20日(金)19:21

EU外相創設案に支持

ブリュッセル(ロイター)

EU将来像会議において、EU外相創設案および侵略とテロに対する連帯条項案に広範な支持が集まった。

ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は金曜日の晩、ブリュッセルでの将来像会議の議論において、欧州委員会の外交担当委員とEU加盟国の上級外交代表の機能を統合し、新たな官職を設けるとの作業部会案を歓迎する意向を表明した。外相は、EU外交政策の決定も安全保障や防衛の問題でない限り、従来の全会一致ではなく常に多数決で行われる必要がある。「多数決か全会一致かの二者択一ではない。多数決決定か重要性喪失のどちらを選ぶかの問題なのだ」、と語った。

将来像会議は来年6月までに新たなEU憲法の策定を目指しているが、外交政策作業部会はこの提案によって、大きく見解の分かれる欧州連合(EU)の将来の外交代表に関する問題で妥協を図った。

作業部会の部会長を務めるベルギーのジャン・リュク・デハーネ元首相は、外交担当欧州委員と加盟国政府の代表たる上級外交代表の職を、加盟国の外交政策の原則的権限に目だった制限を加えることなく、一つのポストに統合するという作業部会案を発表した。この新たな外交代表職は欧州委員会の副委員長を兼任し、同時に加盟国で構成される理事会に対して責任を負うことになる。これにより本来の外交政策が引き続き各国政府の採決を経ることになる、としている。

これは確かに最善の解決策ではないものの大きな進歩である、と将来像会議の議長団のメンバーである、ドイツ選出のクラウス・ヘンシュ欧州議員(社会民主党)は議論の中で意見を述べた。

イギリス選出の将来像会議のメンバー、ピーター・ハインは二つの外交関係職の統合を批判しており、大方の意見からは孤立している。「欧州委員会のメンバーがどうやったら防衛問題に関する議論を導くことができるというのか?意見が食い違った場合に誰が理事会と欧州委員会の間を取り持つというのか?」とハインは疑問視する。

現在EUの外交はいくつかの場合は、大きな官僚組織とEU予算の支援を受けて、クリス・パッテン外交担当欧州委員が司っている。一方ハヴィエル・ソラーナ上級外交代表はもっぱら緊喫の政治問題で「上級代表」としてEU諸国を代表し、そのため政治的重要性もより大きい。EUは対外的には欧州委員会、ソラーナ上級代表およびその時々のEU議長のトロイカ体制で臨むことがしばしばである。フィッシャー外相はこれに関して「EU側の代表は三人でなく一人にしてくれとの声を幾度となく聞かされる」と述べた。

ミシェル・バルニエEU改革委員が座長を務める、共同防衛政策の改革に関する作業部会の提案も将来像会議において広範な支持を得た。フィッシャー外相は、この案にはドイツとフランスの提案も採用されたと述べた。両国案は軍事的援助をも定めている。しかしスカンジナビア諸国はEUが軍事化される恐れがあるとして批判している。

将来像会議−2003年EUの最重要課題

コペンハーゲン首脳会議でEU拡大が決定された今、将来像会議の作業は来年のEUの最重要課題の一つとなった。15ヶ国から差し当たり25ヶ国に拡大した後もEUがコントロールを失わず、また一層の民主的正統性が付与されるように、来年6月までに憲法草案を提起する予定である。12月にはローマで加盟国の首脳によって新しいEU憲法が調印される可能性がある。

原題:Unterstuetzung fuer Vorschlag eines EU-Aussenministers




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